ザ・フィンランド・デザイン展を観てー若い国家だからできたこと

本日午前中、渋谷に行きました。目的はBunkamuraで開催されている「ザ・フィンランド・デザイン展」を観に行くためです。結論から言えば、あまり肩が凝らず、疲れもあまり感じませんでした。それは、つまらなかったからではないです。圧倒されるというよりは、自然と染み込んでくる感じでした。私は、ますますフィンランドに魅せられてしまいました。

 

なぜ、作品が自然と染み込んでくるのか?それはまだ、言語化できていません。ただ展覧会の解説を利用するならば、日本人とフィンランド人は、自然に対する感性が似ているという指摘です。自国の豊かな自然からインスピレーションを得た作品群は、日本人の私が自然に理解できる要素があったのではないか、とは思います。

 

そのため、日本との違いもまた、明確であったと思います。それは、フィンランドが、国民的アイデンティティー確立を、かなりの面で芸術に託していたことです。

 

フィンランドは、東西をロシアとスウェーデンという大国に囲まれています。軍事力に頼ろうとしても、限界があります。また、南には、バルト海を挟んで、経済大国ドイツがあります。経済大国へ舵を切った日本とは異なり、フィンランドはそれ以外の道を追求しないとならなかったのだと思います。

 

何より、フィンランドは、日本に比べると、新しい若い国家です。分かりやすい国民的アイデンティティーを保持していません。そんなフィンランドが、ヨーロッパの中で存在感を示すには、芸術が手っ取り早い手段だったのではないかと思います。

 

ただ、そのことが、フィンランドでは確実に成果をもたらしました。デザイナーをはじめとする多くの芸術家が、国内外で高い評価を得るようになったのです。また、世界的なブランドも生まれるなど、武力や経済力に頼らずとも、確実に国際的な地位を高めました。

 

そのことは、さらなる結果をもたらしました。まずは、芸術が国民生活とリンクしていることですかね。もちろん、若い日本人芸術家も奮闘していると思います。ただ彼らの活動が今一つ生活や社会に伝わらないのは残念ですね。

 

次に、多くの女性が芸術家として活躍したこともあり、男女同権について、割合抵抗が少なかったのではないかと考えられることです。ムーミンの作者トーベ・ヤンソンはもちろん、知る人ならばご存じの女性芸術家を輩出しています。彼女たちは、さながら国家の名誉を背負った「戦士」だったというと言い過ぎでしょうかね。フィンランドが男女同権が進んでいる国家と言われるのは、一つの結果ですが、偶然ではないのでしょう。

 

別に、フィンランドを理想化するつもりはありません。フィンランドは、ただ単に、大国に囲まれた、若い国家であることを逆手に取っただけです。日本がそれを単純に真似しよう、導入しようとしても難しいでしょう。

 

話が硬くなりました。いずれにしても、私のフィンランドへの肩入れは強くなりました。冬はとても寒いので行くかどうかは分かりませんが、グッズを購入して気分くらいは出したいですね。
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